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高森明勅
2019.3.2 08:00政治

近代的自我とは?

社会学者の見田宗介氏が、
“近代的自我”について興味深い指摘をされていた。
 
「文学にあらわれた『最初の近代人』
といわれることもあるハムレットは、
亡霊の場や、共同体を
身体とみる感覚にも示されるように、
前近代の身体感覚をまずは生きていたはずである。
けれども第1幕2場、新国王の結婚・即位発表の場に
初めて登場するこの王子は、母を奪い父をおそって
即位した新国王、今はその妃である母、そして
廷臣たちという複雑な〈関係の磁場〉で、
交錯する視線にさらされる自己の身体の
よそよそしさと、誰にも言うわけにはいかない
『内面の真実』という、デカルト的な身心の分離を強いられる。
…このように、〈関係の交錯〉の強いる
“居心地の悪さ”が、原理として一般化した
状況こそが〈近代社会〉ではなかっただろうか。
近代的自我とは、このような『居心地の悪さ』の中で、
身体がみずからの『内部』に向かって析出する
幻影であるかもしれない」
 
近代的自我とは、
近代社会が恒常的・構造的に人間の身体に強いる
「居心地の悪さ」に対応して、身体自身がその内部に
作り出した「幻影」で、主語はあくまでも“身体”
 
面白い仮説だ。
高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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